連載企画
2Lだけでなく、500mlも!? 災害発生後は「水」の需要急増! もしもに役立ついつもの備え ― カクラボ調査隊
2021/08/23
2011年の東日本大震災の発生から10年。近年も深刻な被害をもたらす地震が相次いで発生し、人々の防災に対する意識は高まっている。自然災害の発生によって起きるライフラインの停止により、最も懸念されるのが「水」の確保だ。生命の維持に不可欠な飲料水は備蓄の必需品であり、災害時にはスーパーなどで品切れになってしまうことも珍しくない。そこで、カクラボ調査隊では、「なんでも酒やカクヤス」における自然災害発生後の水の販売量の動向を探るとともに、非常時に役立つ水対策について調査した。
災害発生後は、ペットボトルの水の販売量が急激に増加!
調査結果によると、2021年2月13日に宮城県や福島県で最大震度6強を観測した地震では、地震発生後に水の販売量が急増したことがわかった。2リットルサイズは、前週比(前週の同じ曜日を1として比較)で約1.7倍、500ミリリットルサイズでは2.2倍と大幅に伸長している。
自然災害に備えて水の需要が伸びるのは地震だけに限らない。2019年10月に台風19号が発生した際は、上陸の数日前から水の販売量が増加。2リットルサイズは最大で前週比約3.7倍、500ミリリットルサイズも約3倍を記録した。
ここで注目したいのが、500ミリリットルの需要の高さ。災害用の備蓄というと2リットルボトルをイメージしがちだが、大容量は調理などには使いやすいものの、開けても飲みきれない、時間が経つと衛生的に気になる、といった声もある。非常袋などに入れて持ち出す可能性を考えても、2リットルと500ミリリットルを組み合わせて用意しておくと使い分けができて便利だろう。
飲料水は「1人あたり1日3リットル」、最低でも3日分の備蓄が必要
それでは、災害時の備えとして、どのくらいの量の水を備蓄しておけばいいのだろうか。飲料水は、「1人あたり1日3リットル」が必要といわれている。救助体制の整備やライフラインの復旧までには少なくとも3日かかるとされており、最低限の量として3日分、つまり「1人あたり9リットル×人数分」の備蓄が必要だ。
さらに大規模災害が発生した場合はライフラインの復旧までに時間がかかるため、1週間分の備蓄が望ましいとされている。また、飲料水とは別に、トイレ、歯磨き、食事の後片付け、洗濯などに使うための生活用水も備えておきたい。
水を備蓄するにあたって、気になるのが賞味期限。通常のミネラルウォーターは2年程度、保存水と呼ばれる長期保存型では5~10年となっている。いざ必要となったときに賞味期限が切れていることのないよう定期的に確認することが肝心だ。なお、もし賞味期限が切れてしまった場合は、災害時の手洗いや食器洗いなどに活用することができる。
断水が発生! そのとき、どのように水を確保する?
大規模な断水が発生すると、「災害用給水所」の開設や給水車の派遣により、地域の住民に給水が行われる場合がある。また、最近は井戸の有用性が見直され、学校や公園に新しい井戸を設置するほか、市民や企業が所有する井戸を防災井戸に指定するなど多くの自治体で積極的な取組みがされている。
自分が住む地域では、災害時にどこへ行けば水を得ることができるのか、あらかじめ各自治体や東京都水道局のサイトをチェックしておくといいだろう。
同時に、給水拠点から水を運ぶための容器も忘れずに備えておこう。空のペットボトルやポリ袋をかぶせたバケツで代用することもできるが、水の入れやすさ、運びやすさ、使いやすさ、衛生面からみても、できれば専用の給水袋やポリタンクを用意しておきたい。
また、地域に給水拠点がない場合や災害発生直後に給水所が開設されるまでは、家庭で汲み置いた水が役に立つ。浴槽に常に水を張っておく、ペットボトルやポリタンクに水を入れておく、といった日頃の備えが重要だ。さらに、下水道の復旧には約1ヶ月かかるため、携帯用トイレを用意しておくと、自宅のトイレが使用できなくなったときにも安心できる。
まとめ
もともと日本は、地震、津波、台風、豪雨などの自然災害が発生しやすく、毎年全国各地で断水を伴う多くの被害が起きている。自然災害のリスクがいつも身近にあることを意識して、毎日の生活の中で必要な量の水を備蓄しておくとともに、災害時の行動をシミュレーションしておくことが、いざというときに本当に役立つ備えとなるだろう。