連載企画
クラフトビール、飲用者は8割以上。愛飲家の押し銘柄も調査。 ― カクラボ調査隊 酒呑みに聞いた今どき事情
2022/07/21
夏本番! ビールのおいしい季節がやってきた!
ビールといえば、最近クラフトビールが若い世代を中心に大人気。スーパーではさまざまなクラフトビールが並び、飲食店においてもクラフトビールを楽しめる店がどんどん増えている。
そこで、カクヤスメールマガジンに登録しているユーザーを対象に、クラフトビールに関するアンケート調査を実施。いつ頃から飲むようになったのか、飲む理由から推し商品までいろいろ聞いてみた。
コロナ禍で一気に飲用者が拡大
そもそもクラフトビールとは、小規模醸造所でつくられたビールのこと。ビール職人がこだわりをもって手作りしていることから、「手工芸品」を意味する「craft」を用いてクラフトビールと呼ばれている。
その始まりは1994年の酒税法改正だ。それまではビールの製造免許を取得するのに必要な年間製造量は最低2,000キロリットルだったが、60キロリットルへと大幅に引き下げられたのだ。
これにより、小さな醸造所でもビールがつくることができるようになり、日本各地に地ビールが誕生し、一躍ブームに。しかし、当時の製造技術ではおいしい地ビールをつくりあげることが難しく、ブームは衰退。
だが、そうした中でも懸命に技術を磨いてきた職人たちがやがて脚光を浴びることに。2010年以降、おいしさと品質が向上した地ビールがクラフトビールとして見直されるようになったのだ。さらに、ここ数年はコロナ禍でのプチ贅沢志向を背景に、若い世代を中心に人気が拡大している。
実際、カクヤスネットショッピングの受注売上金額をみても、クラフトビールは5年前と比べて2倍近く伸びている(下図参照)。
今回のアンケートでも8割以上のカクヤスユーザーがクラフトビールの飲用者で、そのうち「10年ぐらい前から」飲用するようになった人が半数を占めていた。10年ぐらい前といえば、ちょうどクラフトビールが話題になり始めた頃と一致する。やはりカクヤスユーザーはお酒に対しての感度が高いことがうかがわれる。
プチ贅沢志向にマッチした職人魂の味
では、クラフトビール飲用者はどんなシーンでクラフトビールを飲んでいるのか。最も多かったのは「家飲み」66%だった。コロナ禍で外飲みしづらい状況が続いていただけに、当然の結果といえるだろう。
また、人気が高まるにつれ、全国各地で多種多彩なクラフトビールが販売されるようになり、最近では大手ビール会社からもクラフトビールを発売。家飲みをもっと楽しく豊かなものにしたいと考える人が増える中、クラフトビールのラインナップ拡充は願ってもないことだったと推測できる。
家飲み以外では、「バーや居酒屋などの飲食店」56%、「クラフトビール専門店」34%、「国内外の旅先」32%と続く。なかには、「オクトーバーフェスト」という回答もあったが、こうしたイベントをきっかけに、クラフトビールの存在を知る人も少なくないようだ。
そんな話題のクラフトビールだが、その魅力は何なのか。飲用者に飲む理由を聞いてみたところ、最も多かったのは「普通のビールにはないおいしさがあるから」73%だった。次いで、「つくり手によるこだわりが感じられるから」43%、「プチ贅沢ができるから」41%と続く。
まさにクラフトマンシップ(職人魂)の感じられるビールだからこそ、少々値が張ったとしても味わってみたい。そんな思いが飲用者にはあるのだろう。
なお、少数派ではあったが、「旅行先での楽しみ」「地元産だから」「ご当地ものとしていただきます」など地ビールを連想させる回答もあった。90年代の地ビールブームでは品質が追いついていなかったが、長年の職人たちの努力が実り、いまや地ビールもクラフトビールも同義語で語られている。地元を盛り上げるツールとしても一役買っているようだ。
多様性に富み、選びきれないのが悩み?
今回のアンケートでは85%がクラフトビールの飲用者だったが、残りの15%は「飲んだことがない」と回答した。その理由を聞いてみたところ、最も多かったのは「選び方がわからないから」40%だった。
確かに、多様性に富み、個性的なところがクラフトビールの特長だ。だが、ビギナーにとっては「何をどう選んでいいかわからない」という悩みを引き起こしている。
そこで、クラフトビール飲用者にお気に入りのクラフトビールを挙げてもらい、その理由を聞いてみた。ぜひ選び方の参考にしてもらいたい。
「那須高原ビール。軽く飲みやすく、和牛のお肉に合うところが気に入っている」
「ブルックリンラガー。アメリカのビールはおいしくないという印象がひっくり返された」
「インドの青鬼。ホップの苦味が効いているのが好き」
「山椒IPA。さわやかな香りと苦みがとにかく好みど真ん中」
「KAGUA。普通のラガービールにないコクと旨味がある」
「ギネス。まろやかな飲み口でおいしい」
「銀河高原ビール、よなよなエール。 どちらも独特の香りと苦みが新鮮で好き」
他にも、多くの意見が寄せられたが、最後に究極のコメントを。
「いろいろと楽しみたいので、まだお気に入りといえる商品に出合えていません」
国内のビール醸造所は500カ所以上(※1)ともいわれる今、お気に入りに出合えるほうが奇跡というもの。この夏は好みの味を求めてクラフトビールの世界を楽しんでみては。
※1参考「最新594ヵ所!全国クラフトビール醸造所/マイクロブルワリー一覧」Always Love Beer(alwayslovebeer.com)
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】カクヤスメールマガジンに登録しているユーザー
【調査期間】2022年6月23日(木)~6月26日(日)
【回収サンプル数】322
※構成比の数値は小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。